映画日記2020,12〜
2020年12月
冬休みに入り久しぶりに映画でもみようとレンタルしてきた。
『男と女人生最良の日々』
映画「男と女」のお話の50年後を描いた作品。主人公のアクーヌエーメも男優も監督も実在していて、そのことがまず驚き?なのだが(音楽のフランシスレイは一昨年?亡くなっている)いい爺さんんと婆さんになっていて、味わい深い内容だった。監督も歳をとってもあのしゃれたセンスは変わらないんだな。映画「男と女」が素晴らしかっただけに、かえっておかしな作品作らない方がいいんじゃないか?とも内心不安があったが、その不安を吹き飛ばすいい映画だった。
『記憶にございません』
三谷幸喜監督の映画はいくつも好きなのがあって期待してが、これはハズレだった。設定が面白いから、展開によってはもっと面白くできそうな内容だった。暴君的な総理が記憶をなくしたことによって正直に意見を述べる総理へと変化し、その態度が指示を得ていくという荒唐無稽の展開なわけだが、記憶をなくした総理の家族との描かれ方に無理があって、とても感情移入できるものではなかった。最後に今まで父親に逆らっていた息子が総理に「僕は総理大臣を目指す」という結びは監督としては感動的な場面として設定したのだろうが、無理があった。
『YESTERDAY』
はじめは、あまり気の利いたセリフもなく、こりゃハズレかなと思ったが、見ているうちに引き込まれ最後まで見てしまった。まあ、この映画はビートルズへのオマージュともいえる作品なわけだが、ビートルズの曲が話の展開に上手に使われていて、例えば最後の後日談として主人公とヒロインが結ばれ子供たちと幸せそうな家族生活の様子が映される場面には「オブラディオブラダ」が使われ、随所に選曲の良さが感じられた。後半、海辺にある仙人?のようなジョンレノンとそっくりな人物に会いにゆく場面では、主人公がその男に人生訓を諭される場面がよかった。ちょっと話の展開に疑問を持つようなところもあったが、とにかくハッピーエンドで全てチャラって感じかな。
『カツベン』
周防正行監督である程度は期待していたが、なかなかよかった。映画の作りとしては古臭い感じ?だが、まあ楽しい映画ではあった。
『小早川家の秋』
小津監督の映画はだいぶ見たが、これは見てなかった。
やっぱり自分にとっては「晩春」が最高傑作だと思うが、
特にカラーになってからはちょっとなあと思っていたが、
この映画舞台が京都大阪ということで、京都の街並みとか
なかなかよかった。放蕩してきた父親に娘が反発する場面が
あり、その時の父親の俳優がうまかったなあ。なるほど
あんな形で家族愛を描くんだなあ。さすが小津監督だ。
女優の服装や髪型など当時の風俗が見られて面白い。
この映画、秋というタイトルになってるけど、夏から秋にかけての時期で、みんな扇子を動かす様子が頻繁に出てきていた。それも当時の文化を象徴している。もう中年の貫禄って感じだが、やっぱり原節子さんは魅力的な女性に描かれていた。
『赤ひげ』黒澤監督モノクロ映画最後の作品1965年公開
黒澤映画はほとんど見尽くしたが、この作品見てなかった。180分を超える超大作。途中休憩が入る。このような地味?なテーマでこれだけ長い作品を作るとは、しかし少し長すぎるんじゃ?と疑問に思ったが、いやいややはり黒澤監督だった。全く飽きさせない時間だった。もちろん主人公の赤髭先生が魅力的な人物に描かれていることはもちろんだが、若き日の加山雄三演じる若い医者の持つ患者である不幸な境遇に置かれた少女の描き方やその少女の成長を見守る取り巻きの様子は見事な教育映画ともいえるような描かれ方だった。
『我が青春のマリアンヌ』
レンタルで借りてきたのに、なぜか変な部品がケースについていたため
見られずそのまま返そうかと思ったら店員さんが気を利かせてもう1週
間貸してくれたので見てみた。監督はフランス映画では巨匠と呼ばれた
ジュリアンデュビビエ。過去にたくさん見てると思うが、どれも良い
印象がある。ジャンギャバンの「望郷」が秀逸。「にんじん」も見た
と思う。この作品は偶然レンタルで見つけた。設定もお話も自分にとっ
て理想的だ。漫画にしてみたい。主人公のヴィンセントの性格や行動
ギターが得意だったり、不良の連中にも分け隔てない態度だったりして
理想的な好青年に描かれている。その不良の少年たちもいい。
子役を上手に撮れる監督は素晴らしい。そして、湖を渡った所にある
幽霊屋敷。素晴らしい雰囲気だ。ストーリーは御伽噺のようだが、
説得力があるのは、やはり人物の描かれ方が良いからだろう。
あまりに気に入って、ネットでこの監督の映画を探して買うことに決定。
このDVDも返しに行ったときに、北見のツタヤが2月に閉店だそうで、
中古販売しているというので、購入してしまった。800円也。
ネットで調べて分かったのだが、この映画のヒロインマリアンヌが
松本零士の漫画銀河鉄道スリーナインのメーテルのモデルらしい。