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​映画&読書日記2021,1~

2月4日 映画「我等の仲間」ジュリアンデュビビエ監督ジャンギャバン主演

       1936年フランス映画

     昨年の暮れに見た「愛しのマリアンヌ」があまりにも良かったので、ネット

     で同監督の映画を3本注文、その1本がこれだが、まあ面白かったが結末が

     残念。この監督「望郷」という映画が大好きなのだが、こちらも救いのない

     ペシミスティックな結末だ。宝くじを当てた仲間たちが自分たちの夢の家を

     建てレストランを始めるという夢の満ちた内容なのだが、次々に仲間は去って

     しまいついには主人公と唯一相棒ともいえる友が残されるが、女がらみの

     いざこざで、最後には自分で友を撃ち殺してしまうという悲惨なラスト。

     で、後味が悪い映画だった。

2月4日 小説「楽園のカンヴァス」原田マハ

​ 冬休みに原田マハさんの短編集を借りて読んだら、なかなか良くて、この小説を読んでみることにした。作者のマハさん自身キュレーターの仕事していたといこともあって、これまでも美術関係の小説をたくさん書いている。この作品もそうした系列のお話だが、何しろ自分の好きな「アンリルソー」をモチーフとしているだけに実に興味深く、楽しく読ませてもらった。このお話もちろんフィクションの部分も多いのだろうが、もしかしたらこんなこともあったんじゃないかと推測される部分も多く、特にピカソとルソーとのやり取りや当時のルソーの生活なども偲ばれる。第1章でいきなり倉敷の大原美術館、一昨年の日本一周旅行でも立ち寄った場所が出てきて嬉しい。そこで働く監視員(元ルソー研究第一人者とも呼べる主人公早川織絵)の回想の形で話は進む。ニューヨーク美術館のキュレーター、ティムブラウンも大規模なルソーの展覧会を開こうとして働いていたが、ある日スイスの大富豪から真贋判定のためにその二人は招かれる。彼らに手がかりとなる謎の古書を毎日1章づつ読むことによって1週間でこの絵の真贋を判定させるという奇想天外な方法で争わせた。

 この古書の内容が、もちろんフィクションなのだろうが、実名の当時パリにいた芸術家たちが登場し楽しい。あまりに面白いので、あっという間に読み終えた。最後の方は読んでしまうのがもったいないと思うほどで、まあ、ちょっと出来過ぎかな?と思えるが、小説なんだからあのくらい作り話に酔わせてもらえれば、現実離れしてもいいんじゃないかな?。

 というわけで、次はゴッホをテーマにした「たゆたえども沈まず」とピカソの「暗幕のゲルニカ」を読みたいと思っている。

2月16日  小説「たゆたえども沈まず」原田マハ

 「楽園のカンヴァス」に続き、こちらもアート小説なる実在の絵描きさんの当時の生活やその周りの人物との関わりなどを推測し、そのアーチストの業績や成果を炙り出そうという試み?この小説の形態って実にスリリングで楽しい。まあ、推理小説のような楽しみがあるんだな。今回はゴッホ。主にゴッホの生活を支え、絵を描くことに専念できるように支援した弟テオとゴッホとのお話が中心だが、ゴッホは日本の美術に興味を持っていたという事実そして浮世絵に大きく影響を受けて絵を描いていたという事実をもとに、当時フランスでジャポニズムという日本趣味が流行したことと大きく関係する「林忠正」という実在の人物をマハさんはこのお話に登場させている。まあ、このお話の中で林という人物がテオと交流があったり、既にゴッホの絵の価値を見抜いていたという設定になっているが、それはマハさんのフィクションかもしれないが、少なくとも林さんの立ち位置にいる人が浮世絵をパリに持ち込み、ゴッホの絵に影響を与えたことは間違い無いだろう。また、このお話には林の部下として「シゲ」と呼ばれる加納重吉という人物が登場するが、こちらは全く架空の人物らしい。ただ、このお話の中では重要な役回りをしていて、こんな人がテオやゴッホの周りにいてくれたら、さぞやゴッホ兄弟の気持ちを軽くしてくれただろうと思われる。ゴッホの行動については「ゴッホの手紙」や作品の年月日などの資料があるから、時系列で現在でも行動が予想できるから、このお話のかなりの部分が事実に近いと思う。

​ ただ、テオとゴッホの悲痛な生活はやはり可愛そうだった。もしも生前に少しでもゴッホの絵の価値が認められてたらと考えると残念でならない。

2月28日  小説「暗幕のゲルニカ」

 こちらも原田マハさんのアート小説。原田さんの小説はある出来事を多角的に捉えようとするためか?時系列ではあるが過去の出来事と現代の出来事を交差させたり平行に叙述して行ったりする工夫があるのだが、この小説はピカソがゲルニカを描いた時代1940年前後第2次大戦のパリを中心にしたピカソを取り巻くお話と2000年前期トレードセンター爆破の事件で夫を失ったピカソ研究家八神遙子が反戦をテーマとする「ピカソ展」を開催するまでのお話を並行して進めていくという構成になっている。その2つのお話が実にうまく絡み合って響きあって進むという面白い構成だ。ただ、テロリストに捕まるシーンでテロリストの女性が見ず知らずの遥子を命がけで助けるシーンは、えっ?そりゃ無いかな?って思った。パリでのお話はピカソの愛人のドラを中心に展開するが、このお話の中でもピカソのキャラクターは謎めいていて、あまり喋らないし、何を考えてるのかは、ほとんどドラから見たピカソの心理を想像して描かれている。うまい描き方だなあと感心する。ピカソのことは文献が残っているから、ある程度そういったものを参考に当時(ゲルニカを描いたころ)のことが書かれてるとは思うが、2000年代のピカソ展は実際にあったのか?ゲルニカは展示されたのか?今ゲルニカはこのお話によれば国連に展示されていることになるが、どうなっているのか知りたい。

続けて「フーテンのマハ」も並行して読んだが、楽しかった。まず、小学生の時に「フーテンの寅さん」で感銘を受けたというところが気に入ってしまった。また旅先での楽しい出来事失敗談など気取りなく語っているマハさんの気さくな性格が実に楽しく、親しみの持てる人柄が伝わってきて楽しい。今日図書館で原田さんの小説を借りてきた。3月もまたマハさんにハマる。

3月10日

「20CONTACTS」原田マハ

 これは2019年に京都の清水寺で開催される「つなぐむすぶ日本と世界のアート展」という展覧会のために書き下ろされた掌編小説だそうだ。この展覧会自体が本当にあったものかもちょっと架空のようにも思えてくるのだが、その展覧会に展示される作品の作者に原田マハさん自身がコンタクトを持つというもちろんもうお亡くなりになった方ばかりなので、空想のインタビュー集というわけなのだが、まずこの発想が面白いし、マハさんに課せられた指令は、質問は1〜2つまでそして手土産を持っていくこと、一編につき3000〜3500文字

とするなどの条件で行われたまさに架空のインタビュー集というわけだ。その作家陣というのが、手塚治虫、セザンヌ、宮沢賢治、ゴッホ、黒澤明、マチス、小津安二郎など、自分の好きなアーチストが目白押しで、どのコンタクトも面白く読ませてもらった。しかし、本当にマハさんよく作家陣の個性を捕まえて、いかにもその素振りや会話は本人の所作に違いないと思わせることしきり、特に黒澤監督の回は、自分の耳には監督本人の喋っている声が聞こえていた。また、持っていく手土産もその作家に似つかわしい品々で楽しませてくれた。本当にこの展覧会ってあったのかな?

「ジヴェルニーの食卓」原田マハ

これもマハさんお得意の美術小説?。この本には4篇の短編が載っているが、それぞれ作家の周りにいた人物を通してアーチストの姿を浮かび上がらせている。1作目「美しい墓」は画家マティスの身の回りの世話をしていた家政婦がもうおばあさんになっていて、昔のことを思い出してマティスのことを話して聞かせるという形で構成されている。その中でピカソとの交流なども語られる。「エトワール」は画家ドガの友人だったこちらもアメリカの女流画家メアリーカサットが思い出として語ることによってドガという画家を描き出している。

「タンギー爺さん」は当時パリのまだ売れない画家たちを経済的に苦しむ画家たちを支えてあげた素晴らしい画商なのだ。ゴッホは絵具代の代わりにタンギー爺さんを絵に描いているくらいだ。このお話はタンギー爺さんの娘が故郷に帰ったセザンヌに送った手紙を何通かをそのまま載せるという書簡小説?という形で構成されている。そして最後の「ジルヴェニーの食卓」では、画家モネのお話。これもモネの絵を描くお手伝いをしていた娘(ちょっと複雑なのだが)ブランシュから見たモネという形で構成され、それぞれの作家を描き出す手法が見事。しかし、モネの最晩年は世間一般に認められ愛する家族に見守られ素敵な自宅と広大な彼にとって素晴らしい庭に包まれて幸せな生活をして天寿を全うしたというイメージだったが、これを読んで、なかなかモネの人生のも紆余曲折があったのだなと感心した。

 原田さんの小説を読んでもっともっと本当の画家の生活や人生について知りたくなった。

今日はコーチャンフォーでルソー関係の本はないか?ピカソでもモネでもいいからと探してみたが見当たらなかった。仕方なく岩波文庫の「ゴッホの手紙」を買ってきた。高校の時に読んだ覚えがあるがもう一度読もうと思う。

3月26日

「ゴッホの手紙(上)」 

ゴッホの手紙が現在残っていることは、ゴッホの当時の思考や心情を掴むのに重要な資料となっている。制作への意欲や姿勢が前向きに伝わって来るところからしてゴッホの絵に対する自信のようなものが感じられる。また、たびたび日本への憧れが散見する。例えばアルルに着いた時の景色をまるで日本のようだとか。アルルと日本が似ているのか?は怪しいがともかくゴッホにとっては憧れの地に着いたという気分だったのだろうな。これは画家仲間に書いた手紙だが、中巻と下巻は弟テオへの手紙なのかな。こっちも近々読んでみたい。

​3月28日

「火花」又吉​直樹

又吉という芸人、前々から気になる存在だったが、毎週月曜夜9時からNHKラジオで放送されている「又吉、児玉、向井のあとは寝るだけの時間」という番組をほとんど毎週聞いていて、それがなかなか楽しい。又吉という人物に非常に興味が湧いた。しかもこの小説で芥川賞って何ちゅう人?すごいなあと感心していて、この作品は読んでみようと思っていたのだが、書店に文庫が売られていたので読むことにした。

 面白くて一気に読み終えたが、感想は一口には言えないが、そういう終わり方?っていうのが正直な気持ち。先輩芸人の神谷という男の最後が悲惨すぎて後味悪かった。この主人公の若手芸人の心理はほとんど又吉自身と重なって読んでしまったが、お笑い芸人の世界を垣間見るようで面白かった。その笑いにかける芸人魂のようなものが神谷や主人公の言動からビンビン伝わってきた。また、又吉さんのお笑いに対する真摯な気持ちがよく現れたいい小説だと思う。しかし、ああいう終わり方にしかならないのかな神谷というとんでもないあほんだらの純粋で崇高な芸人魂にはあんな結末にしかならざる終えないということか?う〜ん今晩も月曜だから又吉のラジオ番組を聞こう。

​ニコ・ピロスマニ熱再炎!

​5月16日

図書館でピロスマニの本を見つけ、読み出したら前に1度読んだ本だということを思い出したが、やっぱり面白いので全部読む。この作者のはらだたけひでさんの文章がとても良くて2度読んでもやっぱりイイ。ネットで調べたらなんと以前から見てみたかったピロスマニの映画がブルーレイになって売っているではないか。2〜3年前に東京で再上映されたらしくブルーレイ化されたようだ。早速ネットで注文しいきなり3回ほど見た。又、はらだたけひでさんのピロスマニのことを書いた新書もあることを知り完読。はらださんのTwitterのページを見つけて3回連続で呟く。新書と映画の感想は後日。

6月13日

ネットで新しい出会いがあり又も山川方夫作品の再読〜漫画化を目指す。

7月10日 「軍国歌謡集」完成

​山川方夫熱再炎!

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10月24日

自分の誕生日に水木しげる全集の貸本屋時代のセットを購入。本当に初期の作品もあって興味深い。まだ絵は未熟な感じの絵柄もあるがお話は面白くて、その後の活躍する物語の萌芽のようなものが見られる。

11月26〜28日

映画「Get Back』

 この映画当初は映画館で上映される予定だったらしいが、結局ネットで配信されるというので、1ヶ月間だけディズニー+に入会し、3日続けてこの映画を見た。

まあ、映画「Let it be」のための映像で使われなかった部分が見られるというわけだ。

 とにかく曲が作られていく過程がありのままに見ることができたことは興味深かった。彼らが曲を作っていく時に、楽譜はない。歌詞が書いてある紙があるだけで、あとはその場でセッションしていく。その当時はほとんどポールが主導権を握ってビートルズは動いていたようで、曲作りの時もジョージに対してギターの演奏法についてかなり強い口調で要求しているシーンがあり、ジョージが自分のやりたいように演奏できないことに腹を立てて、スタジオを出て行ってしまうということもありのままに描かれていた。だからといって彼等が仲が悪かったとは到底言えない結びつきがこの映画の中にはある。お互いを十分に認め合いリスペクトしているように自分には見えた。この映画の中で最後のアップルスタジオの屋上でのライブシーンが45分全て見られるという触れ込みだったので、すごく期待していた映画の中でもそのライブのセットリストにThe long and winding roadがあってそれも見れるんだと楽しみにしていたが、屋上ライブでは、映画のためか?同じ曲を何回も繰り返しているうちに警察が入ってきてしまい残念だった。ともかくビートルズの制作過程が見られたことは、見た甲斐があった。

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12月3日

金曜日の晩だから映画でも見て寝ようかと、録画してあった「トキワ荘の青春」を少し見出したが、今一つのでき?というか自分の期待からはちょっとハズレだったので、途中でやめ、こっちも録画してあったヒッチコックの映画を見ることにした。ヒッチコックはたくさん見ているが、何しろ1番最初に見たのが小学校6年の時「鳥」だったためあまりにも強烈なインパクトがあり、その後「サイコ」も後味悪く、ヒッチコックは苦手としていたのだが、大人になってみた映画はなかなかユーモアのある作品もあったりして、何しろその心理描写は卓越したものがあると尊敬している。だから作品により好き嫌いがあるが、この作品は好きな方だった。

「白い恐怖」(1945米)ヒッチコック監督

初めからストーリーに引き込まれ、全部見てしまった感じだ。サスペンスなお話の展開はヒッチコックの腕が素晴らしい。また、グレゴリーペックとイングリッドバーグマンの2大俳優がやはりこのお話をより魅力的なものにしている。あと面白かったのは夢のシーンなどにダリの作品が使われていて、そうか同時代なのかと納得。後半のスキーのシーンはさすがに古い映画だな〜っつう感じで、これ絶対スキーしていないなっていうのが丸見えでお粗末なカットでした。それにしても、ともかくヒッチコックのいろんなアイデアにあふれる描写で、恐怖感を増していると思われる。ともかく最後はハッピイエンドでよかったよかった。

12月12日 世界名画全集みたいな古い映画ばかり集めたDVDを格安の値段で購入、50本ぐらいの映画が5000円ぐらい。早速1本見てみた。この全集なぜかクリスマスのお話がけっこうあるみたいで、前から見てみたかったクリスマス定番の映画。

「34丁目の奇跡」1947年

​クリスマスを題材にした映画では、いまだにベストテンに入っているという筋金入りのクリスマス映画。4回もリメイク作品が作られているらしい。まあ、お話はファンタジックな内容と言っていいかもしれないが、裁判所でのシーンを入れたり、デパートの会社の裏側を描いたりして現実的な側面も見られる。とにかくきっちり作ってあって、登場人物の設定がしっかりできているから、作り話だとしても許せてしまう。特にサンタクロース役のクリスはまさにサンタクロースのような風貌で当たり役といえるだろう。お母さん役の人事課のクリスや子役のスーザンも好演だった。心温まるクリスマス物語だった。

 

「クリスマスキャロル」1938年

この映画、この映画の後に何度もリメイクされているらしく最近では2000年代にロバートゼメキス監督のもあるらしく見てみたい。まあ、お話は偏屈な金持ちの爺さんが、クリスマスの霊に脅かされたり、過去や未来の自分を見せられたり

して改心するというたわいない話なのだが、貧しい家族や紳士たちの幸福さが暖かく描かれていて、幸福な気分にさせてくれる。

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